高齢者支援センターの杉本です。
私は日頃、「介護保険の認定を持たれていない方を対象とした相談員」というポジションで仕事をさせていただいており、地域で行われるサロンなどへ参加し介護保険や福祉制度の説明や相談に応じたり、認知症カフェの運営を行い地域の皆さんに認知症予防の啓発活動などを行っています。
そんな中、先日お伺いしたサロンで、とある参加者さんから相談を受けました。
「要介護認定2の夫を自宅で介護していたが、申し込みをしていた施設から思いもよらず早く順番が来たと連絡をもらった。まだ家で介護はできるとは思っていたけど、この順番を断ると次はないと思って入所に至った。けれど面会に行くと夫が元気がなくて・・・。こんなことなら急いで入所させなければ良かった」という声でした。
そのご家族さんはご主人入所後「施設にお願いして安心できると思ったら、あんなに元気のない夫の姿を見ると心配でしょうがない。2割負担なので20万円近い支払をしているが、安心できるなら20万円支払っても惜しくはないが、元気もなく施設でじっとしている夫の姿を見るくらいなら、いったん施設を出た方が良いのか悩んでいる。自分もまだ介護ができないわけでもないし・・・」と言われ、当法人の小規模多機能のサービスについて相談を受けたので、簡単ではありますが小規模多機能のサービスについて説明させていただきました。
『施設にお願いしているのに心配』という言葉を聞き、ハッとさせられました。
介護を要する家族を、『介護のプロがいる施設にお願いする=安心できる』、と思っていたがそうではなかった、やはり介護に限界を感じるまでに至っていない自分が夫を施設にお願いしたことに対する自責の念もあるという悩みを聞かせていただきました。
私は「ではいったん退所して在宅介護しましょう」なんて無責任なことは言えないので、私がお伝えできる、在宅サービスの情報やメリットデメリットなどの情報提供をし、「いつでもまた相談してください」とお話しさせていただきました。
ご家族の求めるご本人の姿や介護の在り方と、現実のギャップに直面し悩まれている姿を見て、私たち「介護のプロ」は、もう一度原点に返らなければならない、と強く感じました。
介護の仕事は決して楽ではないですし、余剰人員がたくさんいて仕事が楽、ということは決してありません。ですが、ご本人さんだけでなく家族さんの気持ちにも寄り添える職員でなければなりません。
今回の相談は、みずき会へ入所されている方ではないので、ご家族を交えたカンファレンスなどを開催することができませんが、今一度、自分たちの仕事を振り返る必要がある声を聞かせていただいたと思っております。